男女とも大会新記録が誕生した。谷口浩美、有森裕子という世界的ランナーの記録を塗り替えた。
気象コンディションはこれまでの大会の中でもっとも走りやすい状況になったが、それにしても、男子は3分3秒、女子も1分41秒もの更新。トレーニング、調整段階など当日のコンディションだけでは計れない夏場のマラソンの難しさを考えると、ただただ驚くばかり。
山口にはこれまでどこかツキがなかった。ケガなどのアクシデントもあったが、「レース前から人のことを気にしたり、名前負けしていた」という気持ちの問題もあった。安部を相手に、勝負を仕掛けるには早すぎるとも思われた22キロで「あとはどうにでもなれ」とスパート。独走態勢を築いた。残りの約20キロ、苦しみに耐え続けたゴールに待っていたのは感動の涙だった。
男子優勝のアンベッセ・トロッサは2日前に誕生日を迎えたばかりの21歳、8月のレースとしては世界最高記録レベルに加えて、抜群のレースセンスは国際級ランナー誕生を予感させた。